唾液腺疾患

唾液腺疾患

基本構造

◇唾液腺は基本的に,腺房部,導管部(介在部,線条部,小葉間導管)から成る.◇大唾液腺と排泄管:耳下腺 (Stensen duct),顎下腺 (Wharton duct),舌下腺(Bartholin duct).◇小唾液腺:口唇腺 (mm),頬腺 (mm),口蓋腺 (m),舌口蓋腺 (m),舌腺(前舌腺 = Blandin-Nuhn 腺と有郭乳頭 の Ebner腺 (s)).s: 漿液腺,m: 粘液腺,mm: 混合腺.

非腫瘍性疾患

唾石症◇唾石が腺体内・導管内に形成.ほとんどは大唾液腺に発生,顎下腺>耳下腺.40歳代の中年男性に多い.◇食事直後に”唾仙痛”.◇組織的には,唾石は同心円状・層状構造を呈する.腺組織では,腺房の萎縮・変性・消失;導管の拡張;導管周囲に慢性炎症性細胞浸潤 (リンパ球・形質細胞);小葉間結合組織の増生.◇組織学的所見は,慢性硬化性唾液腺炎に酷似.

急性唾液腺炎

慢性硬化性唾液腺炎(chronic sclerosing sialadenitis)◇別名は,’キュットネル腫瘍’.◇組織的には,腺房の萎縮・変性・消失;導管の拡張・扁平上皮化生;導管周囲に慢性炎症性細胞浸潤(リンパ球・形質細胞);小葉間結合組織の増生がみられ,故に硬化性になる.

流行性耳下腺炎◇Mumps virusによる感染.◇耳下腺が両側性に腫脹.◇組織的には,腺房の萎縮・変性,小葉間結合織に炎症性細胞浸潤 (リンパ球・形質細胞・単球).腺房細胞の細胞質内にはウイルスの封入体がみられる.◇合併症として,睾丸炎または卵巣炎・漿液性髄膜炎.

巨大細胞性封入体症

良性リンパ上皮性病変◇無痛性腫脹を伴う.耳下腺に多い.中年以降の女性に多い.◇組織変化としては,腺房の萎縮・変性・消失,間質でのリンパ性組織の増殖,筋上皮島の形成.◇シェーグレン症候群と異なって口腔乾燥症状はない.

シェーグレン症候群◇自己免疫疾患.◇中年の女性に多発,耳下腺の腫脹を呈する.◇臨床的には,”乾燥性角結膜炎・口腔乾燥症”をみる.◇組織的には,腺房の萎縮・変性・消失,筋上皮島の形成,導管の破壊・拡張,導管周囲に炎症性細胞浸潤.◇免疫血清学的には,γグロブリン血症,抗核抗体,LE細胞,抗唾液腺管抗体.

粘液嚢胞と Ranuna◇粘液嚢胞の嚢胞壁は,ほとんどの場合,上皮組織ではなく,肉芽組織によって構成される.

ブランダン・ヌーン嚢胞◇舌尖部に発生する粘液嚢胞.

リンパ上皮性嚢胞

Fatty infiltration

腫瘍性疾患

 A.上皮性腫瘍

  a.良性

多形性腺腫(pleomorphic adenoma)◇耳下腺・口蓋部の小唾液腺に好発.腫瘍の発育は緩慢で,周囲組織との境界は明瞭.◇組織的には,腺管状・充実性・胞巣状構造を呈する上皮細胞の増殖,間質には粘液腫様・軟骨様組織の混在.上皮系と間葉系が混在する故に,”多形性” とよばれる.

腺リンパ腫(Warthin tumor; adenolymphoma)◇乳頭状嚢腺リンパ腫ともよばれ,上皮性腫瘍細胞が管腔内に乳頭状で増殖している.間質には胚中心を有するリンパ性組織がみられる.

粘表皮腫◇唾液腺に生ずる悪性腫瘍の30%を占める.◇60%は耳下腺に発生.◇組織的には,粘液産生細胞,扁平上皮細胞および中間細胞からなる.粘液産生細胞は,ときに杯細胞様を呈する.

好酸性腺腫◇多くは耳下腺に生ずる.◇好発年齢は50才以降.◇女性にやや多い.◇組織的には,腫瘍細胞の細胞質にみられる好酸性構造物は,ミトコンドリアである.ミトコンドリアは,細胞の小器官である.

腺房細胞腫◇現在,悪性とみる.◇多くは耳下腺に発生,好発年齢は30~40歳代,女性に多い.◇組織的には,漿液性腺房細胞に類似する腫瘍細胞がみられる.間質成分は乏しい.組織化学的には,胞体(細胞質)は,PAS染色 (+) ・脂肪染色 (-)・グリコーゲン染色 (-)・粘液染色 (-).即ち,腫瘍細胞の分泌顆粒がPAS染色陽性を示す.

  b.悪性

腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)◇悪性腺癌.’円柱腫’ とも呼ばれる.◇口蓋部の小唾液腺・顎下腺に好発.◇好発年齢は壮年期以降.◇女性にやや多い.◇組織的には,上皮性腫瘍胞巣内に大小の小嚢胞腔・腺管状腔が形成される篩状構造を呈する.間質にはしばしば硝子化を伴う.◇神経線維束周囲への浸潤をみることが多い.

腺癌

扁平上皮癌と粘表皮癌

多形性腺腫内癌

未分化癌

 B.非上皮性腫瘍

血管腫

神経鞘腫と神経線維腫

脂肪腫,線維腫

悪性リンパ腫

悪性黒色腫